2025年11月01日
日常生活で手に取る商品の多くに使用されているプラスチック製容器や包装材には、三角形の矢印マークの中に数字が記載された「プラマーク」が表示されています。このマークは単なる装飾ではなく、プラスチックの種類を示す重要な識別記号として、リサイクルや廃棄物処理において欠かせない役割を果たしています。
しかし、プラマークの正確な意味や、なぜこのような表示が必要なのかを理解している消費者は意外に少ないのが現状です。また、製造業者や販売事業者にとっても、適切な表示方法や法的要件について正しい知識を持つことは、環境責任を果たす上で重要な課題となっています。
本記事では、プラマークの基本的な意味から表示義務の背景、各数字が示すプラスチックの種類、そして正しい表示方法まで、プラスチック容器包装に関する表示制度を包括的に解説いたします。持続可能な社会の実現に向けた適切な容器選択にお役立てください。

プラマークとは、プラスチック製の容器包装に表示が法律によって義務付けられている識別マークです。飲料用や特定調味料用のPETボトルを除くプラスチック製容器包装が対象となり、資源有効利用促進法に基づき表示が義務化されています。義務表示は「容器包装リサイクル法」によるもので、この制度により分別回収と再商品化の基盤が整えられています。
プラマークは、プラスチック容器包装の素材を識別し、消費者が廃棄時に分別しやすくするためのものです。つまり、リサイクル可能かどうかという意味ではなく、分別のための識別表示として用いられます。マークには「プラ」の文字が使われ、容器包装の表面に印刷・ラベル貼付・刻印のいずれかによって表示されます。
参考:経済産業省|3R政策
プラマークの表示目的は、家庭からの廃棄物が自治体の分別収集に回りやすくすることであり、分別排出の容易さと収集効率の促進にあります。その結果、再商品化・リサイクルの促進につながり、廃棄資源を有効に循環させる仕組みを支える役割を担っています。
日本国内におけるプラスチックの識別マークには、大きく2種類があります。「プラマーク」はPET以外のプラスチック製容器包装に表示され、一方で「PETマーク」は飲料・酒類・特定調味料用のPETボトルに用いられる三角形の識別マークです。
そのほか、かつてアメリカで使われたSPIコード(数字付きの樹脂識別マーク、1~7)がありましたが、日本ではPETボトルの「1」のみが「PETマーク」で使用され、それ以外の数字入りのマークは現在では使用されていません。
また、複合素材の容器包装では、主としてもっとも重量の多い素材(例:プラスチック)が識別され、プラマークが表示されます。

プラマークの表示方法については、「容器包装リサイクル法」に基づいて細かいルールが定められています。消費者が正しく分別できるようにするため、表示場所やサイズ、さらに必要に応じた材質表示までが規定されています。これにより、全国で統一された仕組みのもとで効率的な分別収集とリサイクルを実現することができます。
プラマークは、容器包装そのものやラベルなど、消費者が容易に確認できる位置に表示することが義務付けられています。表示は印刷、ラベル貼付、または刻印によって行われ、容器の外側や見やすい場所に配置することが求められます。
例えば袋状の包装では表面に印刷、ボトルなどではラベル部分に表示されるのが一般的です。消費者が分別時に迷わないように、視認性を確保することが重要なポイントとなります。
表示サイズについては、印刷やラベル表示の場合は一辺6mm以上、刻印表示の場合は一辺8mm以上と規定されています。これは、消費者が容器を手にした際に容易に識別できるようにするための最低基準です。サイズが小さすぎると判別が困難になり、分別排出の円滑さを損なう可能性があるため、法令で明確に規定されているのです。
プラマークに加え、必要に応じてプラスチックの材質を併せて表示することも認められています。例えば「PP(ポリプロピレン)」「PE(ポリエチレン)」「PS(ポリスチレン)」などの略号を表記することで、より詳しい素材情報を消費者やリサイクル業者に伝えることができます。これは義務ではなく任意の表示ですが、材質が異なるとリサイクル方法が変わる場合があるため、適切な情報提供として有効な手段とされています。

プラマークとリサイクルマークは一見似ていますが、その意味と役割は大きく異なります。プラマークは「その容器包装がプラスチック製である」ということを識別するためのマークであり、決してリサイクル可能かどうかを保証するものではありません。
容器包装リサイクル法に基づき、PETボトル(飲料、酒類、特定調味料用)を除いたプラスチック製容器包装には表示が義務付けられており、消費者が分別排出しやすくすることを目的としています。
一方で、リサイクルマークは、プラスチックに限らず、紙、金属、ガラスなど多様な素材の容器包装に付けられるもので、その素材の種類を示しつつ、リサイクルルートが確立されていることを前提に分別を促す役割を持ちます。
つまり、プラマークは「素材がプラスチックであることを示す識別表示」、リサイクルマークは「リサイクルシステムの中で回収・再資源化を想定した素材識別表示」という違いがあり、両者を正しく理解して使い分けることが廃棄物の適切な分別につながります。

プラマークは、事業者が法令にのっとり正しく表示を行うことで、消費者の的確な分別排出や回収事業者の効率的な選別を支援し、効率的な資源循環社会の実現につながります。表示方法、表示対象、法改正への迅速な対応など、注意点を正しく理解し実践することが重要です。
プラマークの表示は、プラスチック製容器包装に対して法律で義務付けられており、製造や販売に関与する事業者は必ずこれを遵守しなければなりません。表示義務を怠った場合、国からの勧告、公表、命令と進展し、最終的には罰則が科される可能性があります。ただし、小規模事業者にはこれらの措置が適用除外となる場合があります。
紙やアルミとプラスチックが混在する複合素材の容器包装では、主要な素材(重量比率がもっとも大きいもの)に応じたリサイクルマークを表示しなければなりません。複数素材からなる多重容器包装では、各包装に識別マークを表示しなければ原則違反となりますが、一括表示をする場合には併記で「外箱」「内袋」といった役割名を明示することが求められます。
プラマークのデザインや大きさなどの規格は、法令により定められています。自由に変えてよいものではなく、必要に応じて変更された場合はただちに表示方法を更新する必要があります。具体的には、印刷やラベル表示では一辺6mm以上、刻印では一辺8mm以上というサイズ基準があり、識別性を保てる範囲で装飾を加える程度にとどめることが認められています。
プラマークは、持続可能な社会の実現に向けた重要な仕組みであり、事業者にとっては法令遵守の観点から適切な表示が不可欠です。消費者にとっても、正しい分別排出を通じて資源循環に貢献する大切な手がかりとなります。
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