2025年05月30日
乾燥剤はさまざまな商品に封入されていますが、一度使用したものを捨ててしまっているケースが少なくありません。実は、乾燥剤には再利用が可能なものがあるのです。
今回の記事では、乾燥剤の再利用のアイデアや具体的な方法を解説しています。乾燥剤の種類についても紹介しているので、何気なく捨ててしまっている乾燥剤を再利用したい、という方はぜひ参考にしてください。
乾燥剤はさまざまな種類があり、それぞれで原料や性質が異なります。代表的な乾燥剤の種類ごとの特徴を解説します。
デシクレイは、SiO2、Al2O3を主成分とした堅い灰白色の粒子状乾燥剤です。毛細管現象を活用した物理吸着によって水分やニオイを吸着するため、吸着しても乾燥剤そのものの大きさや形状は変化しません。目的に応じて、さまざまな重量や包装形態を選べます。
シリカゲルなどのほかの乾燥剤と比較して、吸着能力が強い傾向があります。強度のアルカリやフッ化水素酸などを除く対薬品性にも優れているため、食品や薬品の乾燥剤としても有効です。価格も安く、コストコントロールもしやすい乾燥剤です。
合成ゼオライトとは、シリカを主成分とする火山灰であるゼオライトを原料とした乾燥剤です。水との親和性が高いゼオライトの性質を生かしているのが特徴です。
ゼオライトを湿気のある場所に置くと、飽和点まで湿気を吸収します。しかし、湿度が下がるとゼオライトは湿度とバランスを取るために水分を放出する性質があります。これを生かし、湿度の低い場所に合成ゼオライトを置いておき、水分を放出させることで再利用が可能です。
石灰乾燥剤は、酸化カルシウム(生石灰)が原料の乾燥剤です。強力な力で湿気を吸収します。価格も安いメリットもありますが、水にぬれると化学反応によって発熱するため注意が必要です。
石灰乾燥剤は一度水分を含むと消石灰となるため、乾燥剤としての再利用はできません。
シリカゲルは、ケイ酸ゲルを原料とした乾燥剤です。透明や青色の粒状となっており、包装内の湿気を取り込んで乾燥させます。湿気を吸収するごとに粒の色が白やピンクに変化するため、乾燥剤としてまだ使えるかどうかの目安になります。
シリカゲルは多孔質で表面積が大きく、水分を吸収する能力に優れているのが特徴です。毒性もなく無臭なので、一般的に人が口にするお菓子などの食品や薬品に多く利用されています。加熱することで吸湿効果が復活するため、乾燥剤として繰り返し使えます。
よく食品と一緒に封入されている乾燥剤は、食品を食べきってしまうと不要になります。しかし、捨ててしまうのはもったいないです。別の場所でも活躍するほか、石灰乾燥剤に限っては乾燥剤としてだけでなく別の用途でも再利用が可能です。主な乾燥剤の再利用の用途を順に解説します。
石灰乾燥剤に含まれている石灰成分は土壌をアルカリ性にする効果があるため、石灰乾燥剤は肥料として再利用が可能です。石灰乾燥剤の中身を土に混ぜてよく混ぜることで、石灰が土の水分と反応をします。
ただし、石灰乾燥剤は水にぬれると発熱する性質があります。作業時にやけどのおそれがあるため、軍手をはめるなどして手に直接石灰が付かないように工夫を行い、ガーデニングの肥料として再利用しましょう。
衣類を入れたクローゼットや衣装ケース、引き出しは閉めっぱなしにしておくことが多いため、通気性が悪く湿気がこもりやすい場所です。クローゼットや衣装ケース、引き出しにシリカゲルなどの乾燥剤を入れておくことで除湿ができるため、衣類をカビや害虫から守るのに役立ちます。
また衣類のほか、靴のカビやニオイの予防にも利用できます。靴は汗や雨で中が湿っていることが多いため、靴箱にそのまま収納するとカビやニオイの原因となります。乾燥剤を入れることで靴箱の除湿ができるため、梅雨の時期や雨で靴がぬれたときにもカビやニオイを防げます。
乾燥剤をドライフラワーにしたい花と一緒に密閉容器に入れて、1週間ほど冷暗所に置いておくと、花をつるして自然に乾かす場合と比べて早く仕上がります。自然乾燥よりも色ムラなく色鮮やかに仕上がるのもメリットです。
湿気を吸って固くなった粉類や調味料の容器の中に乾燥剤を入れると、2~3日ほどで元どおりになります。小麦粉、塩、インスタントコーヒー、海苔、乾麺などへの利用がおすすめです。ただし、砂糖は乾燥剤を入れると固まってしまうため使用できません。
本や雑誌の紙が湿気を吸い込むと、カビが発生する原因となります。書斎や書庫、本を保存しているケースに乾燥剤を入れることで、湿気を吸収しカビを防止します。
精密機器は湿気によりサビが発生することで、不具合や故障の原因となります。精密機器の保存時に乾燥剤を一緒に入れておくことで、湿気を吸着し、サビの発生を防げます。
吸湿効果がなくなってしまった乾燥剤を再利用する方法として、シリカゲルの再利用方法をまとめていきます。
方法 |
手順 |
フライパンで煎る |
シリカゲルを袋から取り出し、フライパンに入れて弱火でゆっくりゆすりながら煎る。 シリカゲルが青くなったら火を止めて、粗熱が取れるまで時間を置く。 |
電子レンジで温める |
耐熱容器にシリカゲルを入れ、解凍モードで加熱する。 加熱しすぎると焦げるため、数分ずつ様子を見ながら温める。 量が多いとムラになるので、少量ずつ温める。 |
天日干しにする |
天気がよくて無風、湿気が少ない日に天日干しをする。 湿気の多くなる夕方は避けて、14時ごろまでには取り込む。 時間はかかるが焦げるリスクはない。 |
乾燥剤を再利用する際に知っておきたい、注意点を順に解説します。
石灰乾燥剤は水分を含むと発熱するため、やけどに注意しましょう。取り扱い時は軍手を着用し、素手で触るのは厳禁です。万が一ぬれた石灰を素手で触ってしまった場合は、すぐに水で洗い流します。
小さな子どもやペットのいる家庭では、誤飲に注意しましょう。乾燥剤を子どもやペットの手の届くところに置かないといった工夫が必要です。
乾燥剤には以下のように再利用ができなくなる目安があります。
乾燥剤の種類 |
再利用不可の目安 |
シリカゲル |
粒の色が白やピンクに変わる |
石灰乾燥剤 |
袋が膨れる、中の石灰が固まって動かない |
脱酸素材 |
入っていた食品の賞味期限が過ぎる |
再利用できる目安を過ぎると吸湿力が少なくなるため、効果が期待できなくなります。特にシリカゲルは、加熱すれば繰り返し使える一方で、湿気を吸収するときに大気中のガスや細菌も吸収するため、穴が詰まることで除湿力は徐々に弱くなっていきます。シリカゲルを加熱しても元の色に戻らなくなったら、再利用せず破棄しましょう。
乾燥剤の種類や再利用の用途、方法、注意点を解説しました。乾燥剤は種類によって、再利用の可否や性質などが異なります。
不要な乾燥剤も、クローゼットや靴の除湿、ガーデニングなどで役立ちます。また、シリカゲルは加熱することで再利用できるため、これまで使い捨てにしていた方はこの記事を参考にぜひ再利用してみてください。
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